私のつぶやき 夏の終わり

もう随分、以前の事になりました。

木のうろなど、水溜まりに湧く“蚊”やつばきにつく“かせむし”(茶毒蛾)を防ぐために、毎年、殺虫剤を撒いていた頃がありました。
どんなに頑張っても害虫を全滅させる事はできないのに、気がつくといつのまにか随分、蝉の声が減ってしまっていた事がありました。

生き物が生きられない環境の不自然さに薬を撒く事をやめてから、本当に沢山の生き物が戻ってきました。あの頃の何処か殺伐とした空気に比べると、いまは不思議と横溢した生命感が感じられるようです。

夏の終わり

蝉がぼたっと落ちてきた。
灰色の腹を上にして、
バタバタと回転する。
ほんのひと時、彼は動かなくなる

そっと裏返してやる。
だが、彼は再び灰色の腹を上して
じっと空をにらんでいる。

雀が一羽降りてきて、
私に気がつくとちょっと考えながら
遠回りをし、
彼をくわえて飛び去った。

夏の終わりの 命の響きのなか