もう随分、以前の事になりました。
木のうろなど、水溜まりに湧く“蚊”やつばきにつく“かせむし”(茶毒蛾)を防ぐために、毎年、殺虫剤を撒いていた頃がありました。
どんなに頑張っても害虫を全滅させる事はできないのに、気がつくといつのまにか随分、蝉の声が減ってしまっていた事がありました。
生き物が生きられない環境の不自然さに薬を撒く事をやめてから、本当に沢山の生き物が戻ってきました。あの頃の何処か殺伐とした空気に比べると、いまは不思議と横溢した生命感が感じられるようです。
夏の終わり
蝉がぼたっと落ちてきた。
灰色の腹を上にして、
バタバタと回転する。
ほんのひと時、彼は動かなくなる
そっと裏返してやる。
だが、彼は再び灰色の腹を上して
じっと空をにらんでいる。
雀が一羽降りてきて、
私に気がつくとちょっと考えながら
遠回りをし、
彼をくわえて飛び去った。
夏の終わりの 命の響きのなか
私の家の庭にも昔、セミが生まれて鳴いていましたが、建て替えた今の家の庭に木が無いので残念ながらセミはもう生まれていません。
近くの農家の屋敷に樫の木の大木がたくさんあって、そこはセミ時雨で、散歩のときに楽しませてもらっています。
昨日吉祥寺の街中の月窓寺の庭でたくさんのセミの穴を見ました。
夏といえば木立から降る蝉の声
木がないと蝉が育まれない・・・土があるだけでは駄目なんですね。
こんなところに蝉の穴が!と思うほど、意外なところにあったりするので忘れていました。木の幹ではなく農業用のネットにつかまって、羽を乾かしている姿も見かけます。今年は本当に沢山孵ったようで、命を終えた姿があまりに多く、そこここにあって、ちょっとセンチメンタルになってしまいました。
街に出て帰ってくると、ここだけ蝉時雨がわんわんと響いていることに気づかされます。これも多すぎると迷惑かしら?などと現代的な心配をしてしまうのですが、自然なので、それも人の勝手。やっぱり夏の風物詩ですよね。
私も吉祥寺・西荻窪周辺は I Love my town! です。